~ADHD上等!プロットが書けないワナビの奮闘記~

感想「創約とある魔術の禁書目録2」:御坂&食蜂の決死の覚悟。第六位藍花悦との邂逅と上条当麻の本質。

2020/09/18
 

この記事を書いている人 - WRITER -
職業物書きを目指すワナビ兼アニメオタクです。 企業に依存しない生き方を目指します。

 

※この記事は「創約とある魔術の禁書目録2」のネタバレを含みます。ご注意ください。

 

舞台は聖夜の学園都市
恋人たちが身を寄せ合う影で、の降誕祭が始まる――。

創約とある魔術の禁書目録2」読了しました!!

©2020 KADOKAWA/鎌池和馬・はいむらきよたか

さようなら二四日。二五日は全力全開私の出番ダゾ☆

 気づけば上条当麻は病院にいた。 魔術結社『薔薇十字』アンナ=シュプレンゲルと口づけを交わしたところまでは記憶があるのだが……。
しかし待って欲しい。
思春期まっただ中の健康な男子高校生、上条当麻が謎の美女とファーストキス――。
時は経て現在。彼が担ぎ込まれた病院には御坂美琴インデックス、そして別行動の蜂蜜色の少女までやってきていた! 科学と魔術が交差する恐怖の糾弾大会が始まる――と思いきや、なぜか美少女たちによる看護ラッシュに移行して!?
アンナの思惑を察知した美琴と食蜂。犬猿の二人は同じ目的のために手を組んだ。ここに最強の超能力者レベル5コンビが誕生する!!
(創約とある魔術の禁書目録2 あらすじより)

本当に中学生かこいつ!?(表紙を見ながら)

新シリーズが始まって2巻目。1巻目では出番のほぼなかった食蜂が猛アピール力を発揮してきましたね!

いやぁ今回も楽しませてもらいました。

あらすじを見た時には「美少女たちによる看護ラッシュだと……!?」と前回のシリアスなラストからどう繋がるのかと驚きましたが。

知ってた。
しっかり本編のお話は進み、しかも次が非常に楽しみな続き方をしてくれました!

まずはいつも通りあらすじを追っていきましょう。
(記事が長いので目次でお好きなところからお読みください。)

30項目でわかる創約とある魔術の禁書目録2のあらすじ

序章
薔薇十字ローゼンクロイツの重鎮アンナ=シュプレンゲルの口づけを受けた上条当麻かみじょうとうま、体をくの字に折り曲げて大量の血を吐く。第三位の超能力者レベル5御坂美琴みさかみことがアンナに言い寄るが、魔神オティヌスの静止を受ける。アンナは「問題を解決したければわらわを訪ねよ」と言い残し去る。
第一章
第七学区の病院で目覚めた上条。今回は大部屋で隣の青髪ピアスと格闘していると、そこにピンクナース服姿第五位の超能力者レベル5食蜂操祈しょくほうみさきが登場。青髪に見つからないよう食蜂を自分のベッドに匿った上条、食蜂とイチャイチャする。
③お見舞いにきた美琴とインデックスは、裸の御坂妹4人+食蜂に風呂に沈められる上条を発見。そのまま上条・インデックス・美琴・食蜂の4人でお食事。
④病室に戻った上条のもとに今度はミニスタサンタになった食蜂登場。優しい瞳でホイッスルをプレゼントする。
⑤上条はカエル医者から「その体は今も蝕まれている」という診断結果を受け、美琴・食蜂がそれを盗み聞き。具体的なタイムリミットは長くて2日――医者は張本人なら何か対策を持っているだろうとアドバイスする。上条の「怖いよ」という等身大の弱音を聞いた二人は、アンナ本人をぶっ飛ばすために行動を開始する。
第二章
⑥小学校が多く集まった第十三学区の商店街。フレメア=セイヴェルンに届け物をしに来た浜面仕上はまづらしあげ絹旗最愛きぬはたさいあいは10歳くらいのほぼ全裸幼女を拾う。幼女がマダム=ホロスの名前を出したことで、浜面は幼女がアンナであることに気付く。
⑦そこへA.A.A.アンチ・アート・アタッチメントを装備した美琴蜜蟻愛愉みつありあゆが使用していたファイブオーバーOSアウトサイダー・モデルケースメンタルアウトを装備した食蜂が登場。周りの人間を庇いながら二人の戦闘が始まり――アンナが腕を振るうだけでA.A.A.の右半分を抉り取られ大爆発。美琴が離脱する。
食蜂操祈 VS アンナ=シュプレンゲル緊縛の縄、スプートニク、即席の原典。どれも当たれば必殺のアンナの攻撃を、顔を真っ赤にして涙目になりながら持ち前の運動音痴(本人は決してそうとは認めない)とセンスで回避し続ける食蜂。
⑨即席の原典を超電磁砲レールガンで一掃し助けに入った美琴。食蜂を抱えて一時離脱するが、アンナが追ってきていない・・・・・・・・・・・・ことに気付く。あくまで二人には興味がないことを悟り憤慨する。
第十五学区、クリスマスムードにごった返す生徒の中、上条のいる病院に向かうアンナの元へ駆けつける二人。食蜂を囮に使う美琴に、美琴に心理掌握をかけて邪魔をする食蜂。互いに互いの妨害をし――しかしその結果アンナの攻撃を回避しながら、アンナへ接近を試みる。
R&Cオカルティクスに手を染めた能力者たちは内面的問題をアンナに的確に突かれ、美琴と食蜂へ向けて魔術を行使する。当然能力者の体には拒否反応が出るが、食蜂の心理掌握メンタルアウトで彼らを停止させる。
⑫美琴は磁力を操り大量の鉄筋とコンクリを操ってアンナを拘束しようとするが、エイワス勝手に・・・登場し全てが吹き飛ばされる。アンナの余裕に激昂する美琴に、学園都市全体が振動する即死の一撃が見舞われる。
⑬容態が悪くなる上条に、オティヌスはカエル医者すら手を焼く「劇症型サンジェルマン」についての説明をする。
第三章
⑭第七学区の病院に、魔術の副作用で傷を負った患者が次々と運び込まれる。
「期待はしていないが」と美琴と食蜂がアンナへ立ち向かったことを止めなかったオティヌスを、上条が激しく怒る。オティヌスはアンナの切り札をさらけ出させるために必要だったと諭し、アンナについて知り得た情報を話す。
⑯アンナの即死の一撃をファイブオーバーOSアウトサイダー・モデルケースメンタルアウトを身代わりにすることで防いだ食蜂。ついに第七学区まで辿り着いたアンナに再び追いつく。美琴が囮になり、食蜂が上条を病院から連れ出して逃げるという作戦をたてるも、アンナが放った光の塊を受けた美琴は気絶してしまう。
⑰上条が病院を抜け出す際、入院患者に扮していた舞殿星見まいどのほしみが手を貸すと進言。しかし上条は彼女に脱走幇助の罪を犯させないためにそれを断る。なんで持っているかも覚えていない・・・・・・・・・・・・・・・・ホイッスルを握り込んで上条はアンナの元へ向かう。
⑱満身創痍の体で非常階段を下りる上条の元に、第六位の超能力者レベル5藍花悦あいはなえつと名乗る人影が現れる。「名と能力を貸す」という藍花に上条は「これは俺達の事件だ」と断る。押し問答の末「分からず屋め」と拳を握った人影と拳を交え、上条は先へ進む。
気絶した美琴へ全力で信号を送ることで彼女を起こした食蜂に対し、アンナに踏まれ頭蓋骨を圧迫されながら美琴は「逃げろ」と叫ぶ。それでは彼(上条)が哀しむ、という理由で絶対に美琴を諦めない食蜂。美琴が心理掌握メンタルアウトを『承認』することで、痛覚除去や筋力リミッターの解除などの強化を受けた美琴が零距離での超電磁砲レールガンを放とうとするも――アンナの右足がその右手を踏み潰す。
⑳万策尽きた美琴と食蜂。絶体絶命の事態に、上条当麻ヒーローが駆けつける。
㉑エイワスの不可避のはずの二重攻撃を上条が弾き返す。右手の拳、そして左手の魔術によって。上条はサンジェルマンを味方につけ、魔術を行使する。
上条当麻サンジェルマン VS アンナ=シュプレンゲルエイワス炭素を操るサンジェルマンと異能を打ち消す幻想殺しイマジンブレイカー。脳細胞の領域まで浸食をしたサンジェルマンと意思の疎通をはかり対処方法をスイッチしながらアンナと戦闘する。
㉓急患で大混乱の病院内。インデックスオティヌスは能力者の魔力精製の呼吸を乱して、あえて意識を落としてやることで彼らの容態を安定させていく。二人は上条が戻ってきた時に最悪の末路を見させないために事態の収束にあたる。
㉔距離も素材も関係なく空間を削り取る構造殺しストラクチャブレイカーや電気そのものを爆弾と化す資源殺しアーティクルブレイカー。上条の幻想殺しイマジンブレイカーへの当てつけか、次々と右手を作り変えて襲い来るアンナ。
㉕舞台は地下鉄を経て百貨店へ。アンナが使っているのは純粋な薔薇の術式ではないというヒントをサンジェルマンから得た上条、R&Cオカルティクスの影響を受けた宝飾店で彼女の術式の謎の手がかりを探す。
㉖アンナの呪いがクリスマスという日時を逆手にとったものだと看破したインデックスとオティヌス、再び能力者が魔術を行使しないようクリスマスを終わらせる術式を組む。
㉗こちらもアンナの手の動きによる術式を看破した上条、アンナの指に噛み付くことで彼女の左手を封じ、上条とサンジェルマンの意思の載った拳がアンナの左頬を捉える。
終章
㉘上条の体から出て行き消滅しようとするサンジェルマンを上条が止める。「自分で自分の肉体を破壊するなんて絶対に間違っている」と、サンジェルマンは上条の命を優先し自ら消滅の道を選ぶ。
㉙拘置所。新統括理事長の一方通行アクセラレータの隣の鉄格子にアンナが拘置され、二人は顔を突き合わす。アンナは「空いた時間で適当に街のデータを取らせてもらう」と言い残す。
㉚入院病室。アンナに敗北した美琴は「力が欲しい……」と学園都市でのレベル評価ではなく、守れるものを守れるだけの強さが欲しいと望む。そのために手を貸してと美琴から差し出された手を、食蜂が確かに掴む。

©岸本斉史/集英社

人間は失敗を通じて強くなるんやで美琴ちゃん……!

科学サイドの話ではその持ち前の能力を発揮して大活躍してきた美琴。
しかし魔術サイドではインフレについていけず後手に回るばかりでした。
前巻では根丘のインスタント魔術にあっさり超電磁砲を破られてしまいましたしね……。

でも、もし美琴がアンナに対抗できるほどの力を遂につけられるのだとしたら、これは相当頼りになるはず。
こーれは続きが気になる。

では今回も感想を落としたいことがたくさんありますので、それぞれのキャラクターにフォーカスしつつ述べていこうと思います。

御坂美琴と食蜂操祈

©2020 KADOKAWA/鎌池和馬・はいむらきよたか

――二四日はもう終わった。二五日はあの少年が救われる番だ。

恋する乙女は強い。
だが、幼女のほうがもっと強かった……!

今回は長いページ数を割いてこの二人の行動がフィーチャーされた巻でありました。
上条さんを救うためにアンナと死闘を繰り広げたのは、御坂美琴食蜂操祈の我らが常盤台超能力者レベル5コンビです。

 

前巻のラスト、アンナに上条さんの唇を奪われ焦燥感と喪失感を得る美琴。
目の前で思い人の唇を奪われる姿を見るのは中学二年生の女の子にはショッキングだったでしょう。
よりによってクリスマスにねえ……。
しかして、入院することとなった上条さんのお見舞いにいち早く駆け付けたのは食蜂でした。

©2020 KADOKAWA/鎌池和馬・はいむらきよたか

完全に恋する乙女の顔してますがな。

常盤台最大派閥の女王様もこの人の前では完全にただの一人の乙女なの微笑ましすぎませんか。
表紙を飾ったピンクナースコスも、このミニスカサンタコスもさすがのプロポーション力と破壊力。
アンナに上条さんの初めてのキスを奪われてしまって「こうなったらキス以外の初めて全部奪ってやるんだゾ」なんて発言も飛び出しました。
ぜひお願いしたい。

©若林稔弥/スクウェア・エニックス

 

 

とまあ、どたばたな看病コメディの後二人は見てしまいます。
カエル医者の診断を受け怖いよ」と弱音をぽろっと吐き出してしまう、上条当麻の姿を。

 

彼女らにとって確実に英雄ヒーローだった男が初めて見せた弱い側面。
上条さんにとっては、今まで命を救ってきてくれたカエル医者ですら解決方法がわからなかったのが効いたんでしょう。
すでにボロボロになってしまった彼に代わり、今度は自分たちが救う番であると。

©2020 KADOKAWA/鎌池和馬・はいむらきよたか

「どこからやる?」
「あなたが今頭に思い浮かべた事を全部。私もそうするわあ」

この表情の奥にはどれほどの覚悟があるのか、計り知れません。

 

アンナが言う通りただ彼女を尋ねるだけじゃ意味がない。解決策をぽんと出してくれる保証なんてどこにもない。
だから、実力行使でワクチンなり特効薬を強奪しにいく。
作中最強格の超重要人物へ、学園都市の第三位と第五位が挑みに行く。

 

ここはぐっとくる場面でしたねー。

もしかしたら、二人は頭のどこかでまたいつもの上条さんが戻ってくるのだと思っていたのかもしれません。
今回の困難も、きっと今までのように乗り越えてくれるのだろうと。

しかし、彼が大きな不安を抱えていることを目の当たりにしてしまった。
それを自分たちに見せないよう振舞っていたことを知ってしまった。

それに気付けなかった自分たちに心底怒りながら、静かに行動を開始する彼女たちの挿絵めちゃくちゃかっこいいです。

 

御坂美琴はA.A.A.アンチ・アート・アタッチメントを。
食蜂操祈はファイブオーバー・メンタルアウトを。
それぞれオーバースペックテクノロジーで実力の底上げをはかって怪物アンナ=シュプレンゲルに挑みます。

 

その戦いの中で今回判明したのが意外な才能というか、食蜂の予測不可能な回避スキルでしたね!

©2020 KADOKAWA/鎌池和馬・はいむらきよたか

このアンナの笑い方にすごく残虐性を感じる……。

アンナにも予想外な転び方や滑り方をすることで必殺の攻撃を避け切ってしまうという、持ち前の運動音痴が功を奏したパターン!
アンナは遺伝的希少性ジーンレアリティなんてふるい分けに勝った」と表現していましたが、確かに230万人の内の7人という希少性を持つ超能力者レベル5にまで育つという才能を持っているということは、相当な豪運の持ち主であってもおかしくありませんよね。
ともあれ、心理掌握メンタルアウトが効かないアンナに対してなんとか殺されないまま戦闘が続きます。
犬猿の仲である二人でも、上条さんを救いたいという共通の目的で協力し合う場面もありました。

 

美琴が心理掌握メンタルアウトを『承認』することで、戦闘能力を大幅に向上させるバフをかけるというなんとも裏技チックな支援も!
痛覚除去、呼吸の調整、水分や脂肪など体内余剰資材の緊急消費、恐怖心から来る行動抑制の排除、筋力リミッターの解除、成功の体験の反復、五感の処理能力拡張、一時的な記憶増進と分析能力強化。
いわゆる臨死の前後にみられる火事場の馬鹿力、スローモーション、幽体離脱、走馬燈などの脳科学エラーをかたっぱしから詰め合わて脳内に叩き込む。

これは心理掌握メンタルアウトの面白い活用法だなぁ!
こういうこともできちゃうんですね。
痛覚も恐怖心もゼロの人間が襲ってくるってめちゃくちゃ怖いですね。しかも運動能力がエンハンスされてるとか。
確かに本来の人間ではありない動き、思考処理ができればアンナに超電磁砲を当てられるかもしれない……!

 

――しかし。
結局二人はアンナに傷ひとつ付けること叶わず敗北してしまいます。

©藤子・F・不二雄/小学館

せっかくあんなに覚悟を決めたのにッ!

いやまじで、いいとこなしで終わっちゃうんですよね。
一矢報いる展開とか、本当になし。
世知辛いなぁ……。

新約21巻で見せた二人の合わせ技液状被覆超電磁砲リキッドプルーフレールガンをまた見られるんじゃないかと期待しましたが、そもそも打つ機会すら与えてくれなかった感じでしたよね。

しかし、これでは終わらせない。
これを次に繋げなくては、決死の覚悟が無駄になるというもの。

最後の最後で次への展望が見えたのがせめてもの救いかもしれない。
……それについては後の章で。

上条当麻とサンジェルマン

©2020 KADOKAWA/鎌池和馬・はいむらきよたか

キミ、入院何回目?

食蜂が「実は傷はそんなにひどくないみたい」って言ってましたけど……
嘘だぁ!? この人脇腹に刺されたナイフを無理矢理引き抜いてるんですよ!?
絶対上条さんって肉体再生能力持ってますよ。それも超能力級レベル5クラスの。

 

さて、なんと入院メニューのローテーションを把握しているほどの入院プロである上条さんですが、今回は個室ではなく大部屋。
隣にクラスメイトの青髪ピアスが入院していましたね。

前巻で高温に熱したおっぱいマウスパッドを両手で鷲掴んで火傷を負った彼ですが、なんと病室に吹寄制理がお見舞いに来てくれたそう。

©2020 KADOKAWA/鎌池和馬・はいむらきよたか

クラスの女の子がわざわざクリスマスにお見舞いに来てくれるなんてそれだけで十分じゃないですかぁ青髪くん!
秘密のタブレットのひとつやふたつ叩き割られても文句言えないよ!

……まあ吹寄はどちらかというと上条さんのために来てそうな気もしますが、どうなんだろうね。

 

まともな恋愛なんて期待しない、ヤル事できたらそれでええ、と開き直っている青髪に上条さんが「キスなんて大したことないよ」とオトナな意見を言います。
「口の中なんて雑菌まみれだよ。世の中全部微生物でいっぱいなんだよ」となぜかインデックスみたいな口調でサンジェルマンという微生物を抱えていることを憂う上条さんがなかなか可笑しかった。
この余裕のある発言は大いに青髪の精神を逆なでしたことでしょう。
青髪、元気出してね。

 

それから時が過ぎ、美琴と食蜂がアンナの元へ向かったとオティヌスから知らされる上条さん。
彼女らを止めなかったオティヌスを上条さんは鷲掴みにして怒鳴ります。

まず自分を使い切る作戦を立ててほしいと言う上条さんに、「断ると言ったら?」と返すオッティ。
ここの「アンタを嫌いになりたくない」って返しは割と結構な殺し文句な気がしますねぇ。
「あなたのこと嫌いになりたくないの」って言われたら悪い気はしないですもん。
相手に嫌われたくない者にとっては効く言葉ですよね。オッティにとっても効いたみたいです。

 

「ふん、不遜だぞ。いつまでべたべた神のカラダに触れている。許可も取らずに」
とかいうオッティと上条さんの会話がめちゃくちゃいい感じなんですよね~。
え、許可取ればいいんですか!? と思ったのは僕だけではないはず。

 

そしてアンナの情報を探るため、魔術を使う能力者に密かに傍受霊装を取り付けていたことを小声で吐き出すと、上条さんにお仕置きを受けるオッティ。
UFOキャッチャーのように頭をつまみあげられて足をじたばたするオッティかわいすぎか。
このオッティの絵、gifで欲しいですな。

 

 

さて、物語は終盤。
上条当麻サンジェルマン VS アンナ=シュプレンゲルエイワスの場面。

上条さんは脳細胞にまで浸食したサンジェルマン語り掛けることで対話を始めます。
能力者の体に毒であるサンジェルマン。魔術を使う上で弊害となる幻想殺しイマジンブレイカー
相性は最悪、どう見積もっても手を取り合うべきではない二人。
けれど、上条さんは自分の体を貸してやるから、やりたかったことを貫き通せよ、とサンジェルマンを鼓舞します。

 

『夢を守りたい。この世界に、挫折や諦観の涙なんていらない』というサンジェルマンの願いを叶えるために、二人は手を組みました。

©2020 KADOKAWA/鎌池和馬・はいむらきよたか

必殺『まさか魔術を使っているの!?』返し!!
左手をかざしている上条当麻の絵というのはレアですぜ。

使えるものはなんだって使ってやる精神の上条さんですが、まさか自分に寄生した微生物まで利用してしまうとは。

©久保帯人/集英社

二刀流は男のロマンですよ!!

上条さんが対処できないフィジカルな攻撃はサンジェルマンの魔術で。
サンジェルマンが対処できない異能の攻撃は上条さんの幻想殺しで対処。

そうすることでどうにかアンナと渡り合いその頬を殴るべく接近を試みる作戦です。

 

上条さんはアンナの術式も一般技術である、つまり今まで戦ってきた魔術師と同じ――何かからくりがある・・・・・・・・・と考え彼女の術式の謎を解くヒントを探します。

R&Cオカルティクスに影響を受け薔薇の知識を仕入れた宝飾店でのヒントと、サンジェルマンからの助言。
それらから薔薇の象徴には土属性が弱点であると看破し「やぎ座を意味する一文字」の金メッキの記号を放り投げアンナの隙を作ります。

そして、一瞬の隙さえあればもうこちらのもの。
人差し指、中指、小指の動きで属性を操っていたことも看破した上条さんは口でアンナの左手の動きを封じ。
上条さんとサンジェルマン、二人の想いの載った拳がついにアンナの頬骨を捉えます。

魔術師戦闘においての基本。
相手の術式を看破し、それを魔術的記号を用いて突破する力。

これが科学畑の美琴と食蜂には残念ながらできなかった、上条さんの経験が成せる技ですよね。

しかし断片的な情報を拾うだけでよく真相に辿り着いたものだなぁ……マジで上条さんの適応力、推察する力がすごい。

 

アンナを倒した後、サンジェルマンは上条さんの命を優先して自ら消滅する道を選びます。
珍しく上条さんが救えなかった命、ということになるのでしょうね。
まあ命を取り留めることだけが救いではなく、彼の夢を叶えるべく共に戦えたということ自体が、サンジェルマンにとっての救いにはなったのかもしれません。

 

今回の上条さんは過去最大級にボロボロになったはず。とりあえずゆっくり休んで年明けを迎えてください。
……まあこの世界で年越しまでのあと6日間なにもなく過ごすのは無理だろうな……。

インデックスとオティヌス

©2020 KADOKAWA/鎌池和馬・はいむらきよたか

このオッティべらんめぇにかわいいですよね。

かわいいっていうか綺麗っていうか眩しいっていうか。
今までのオッティ挿絵の中でもかなりの上位に食い込む勢いだと思います。
今回の記事サムネをこれにしたいくらい。

 

さて上条さんや美琴、食蜂が表立って戦っていた裏で頑張っていたのはインデックスオティヌス

仮に上条さんがアンナに勝利を納めても、病院で大勢の死人が出ていたんじゃ彼にとって意味がない。
それを理解しているインちゃんとオッティは魔術の副作用に苦しむ能力者たちを救うため、アンナの術式を解析し食い止める方法を探します。

「いいか、誰も死なせないぞ」「うん」と。
インちゃんとオッティは能力者たちを救うべく、クリスマスを終わらせる術式を組みます。

©中原アヤ/集英社

なんだその名前のかっこいい術式は……。

このコンビもなかなか板についてきたんじゃないですか?
個人的にすっごく好きなキャラ同士のコンビなので、このコンビが活躍してくれる展開はすごく嬉しかったりします。
ていうか魔術的知識が要求される場面においてこの二人が頼りがいがありすぎるんだよなぁ。
以前にも書いた気がしますが、上条さんを倒すために敵の狙いがまずこの二人になる日も近いのではないかとひそかに心配しております。

超能力者第六位 藍花悦

©2020 KADOKAWA/鎌池和馬・はいむらきよたか

極彩色の異世界に、揺らめく影。
超能力者レベル5――その序列は第六位、藍花悦あいはなえつ

ここでテンション上がった方も多かったのではないでしょうか。

遂にまともに出てきたかぁ第六位!
いやぁ前巻のあとがきでかまちーが「目次で気付いた人もいるかもしれませんが……」って話をしてたので今回読み始める時にちょっと目次を注意深く見てみたんですよ。
で、第三章「ゼロの空白の中で」の英語サブタイトルが「Contact_6.」だったのでね!
え、まさかこれ第六位出てくるんじゃないの……?と思っていましたよ!

 

今まで出てきた情報の中では、第六位はどうやら困ってる人に名前を貸す活動をしているということくらいしか明かされていませんでしたが、今回はとうとう上条さんの前に現れました。
藍花は上条さんを「あなたは善人ではない」と断言した上で、しかしそれでもR&Cオカルティクスを止めるためには上条さんに手を貸すのが最善であると判断したようです。

しかし、そこは上条当麻。藍花の提案を一言で断ります。

安全地帯からの上から目線、ムカつくぜと。
これは俺達の戦いだ、お前も自分で拳を握れよと。

うん……まあぜーったい素直に力を借りるなんてことはないだろうなぁとは思ってましたよ。

上条さんが舞殿や藍花の手助けを断ったのは、サンジェルマンを味方に付けられるという勝算がどこかにあったからなのではないか、と考えてみたり。
舞殿にこれ以上手を汚して欲しくないというのはわかりますが、別に藍花から恩を売られても別に後腐れ無さそうですし断る理由もそんなになかったんじゃないかなあと思うわけです。

多分、この戦いが「自分の命を救うための戦い」だったから周りを巻き込めなかった、という点も大きいのかなと。

ただひとつ言えるのは、きっと藍花の力を借りてアンナに挑んでいたとしても、きっとアンナには勝てなかったのだろうなぁとも思います。
それは第三位と第五位の二人がコテンパンにやられたことからもわかるのではないかと。

アンナの予想から外れて戦うことができたのは、敵と味方の垣根を越えるという上条当麻の本質によってサンジェルマンを味方に引き入れたからであって、藍花から力を借りるだけでは「ただの人を救う装置」の域から出ることはできなかったんじゃないでしょうか。

 

 

藍花悦の能力について。
「ぼくの能力の性質上、一人で正義を成せるわけではない」という台詞がありましたね。
ふむ、他人に能力を与えられるけれどそれを自身が使用することはできない、というかなり特殊な能力らしい。
それでも彼(彼女?)が超能力者レベル5なのは与えられる能力の自由度が相当高いんでしょうねー。
能力名も気になるところ。単純ですが『能力付与スキルギバー』とか候補でしょうか。

 

ところで、どうしてこれが第六位なんでしょうね?
他人がイメージした通りの能力を与えられるって、能力研究的価値で言えば結構上位に食い込みそう、とは思いませんか?
まあ他の序列の決め方、例えば未元物質ダークマター心理掌握メンタルアウト、どっちが能力研究価値があるかって言われても正直判断のつけようがないですが……。
学園都市のオトナが考えるですからね、わかんなくていっか。

©河田雄志・行徒妹/ノース・スターズ・ピクチャーズ

……っていうか、地味に第六位を登場させたタイミングで、同じ建物内に青髪ピアスを配置したのってもしかしてかまちーわざとかな……?
大昔から密かに都市伝説的な意味で囁かれている青髪ピアス=第六位説ですよ。
うん……まあ僕は十中八九違うと思ってるんですけど、可能性はゼロではないですからね。
あえて確定情報を出さないことで設定に深みを与えるという技法もあるわけで、第六位の詳細を明かさないのもそういうことなんでしょうけれど。
そういう読者の想像力を掻き立てさせることに関して天才的ですよね、ほんと。

アンナ=シュプレンゲルという怪物

©2020 KADOKAWA/鎌池和馬・はいむらきよたか

この女怖いよ……!!

読みながら思っていた僕のアンナに対する感想がこれです。
だって対食蜂戦で、アンナが魔術の説明をしている最中にちょっと食蜂が口を挟んだだけで

「だから今説明してんだrogdがっ! qhuvndおおッアアhiengk!?」

態度を豹変させるんですよ?

©あらゐけいいち/角川書店

お前らはいつもそう、正しい事を教えているのに無駄に頭を使うから失敗するんだとか。
そのくせ糾弾だけは得意とはふざけるなとか。

……なんだろう、間違いなく過去にあった嫌なことを引きずっている節がありますよね。
天才故の苦悩というか、自分の言う通りにしていれば万事うまくいくのに勝手なことをするから間違えるんだという凡人への苛立ちがすごいんでしょうか。

 

で、ちゃんと聞いていたら「えらいえらい☆」と今度は笑顔で褒めてくれる。

©高津カリノ/スクウェア・エニックス

その感情のブレ幅が怖いよ……!!

怒りの沸点がどこにあるか分からない人っていうのは本当に怖いですよ。
人間関係において「何をすれば喜ぶのか」を知るより「何をしたら怒るのか」を知るほうが重要だったりしますもんね。

 

サンジェルマンとの対話の中でも、わらわの言葉を正しく受け取った結社なんて一つも現れなかったと。誰もが自分のために捻じ曲げたと珍しく本音らしいことをこぼすアンナ。
ふむふむ……アンナにも心理的なトラウマがあるみたい。
僕が想像していたよりも、ずっと人間らしいキャラクターなのかもしれません。

となると、アンナも今後上条さんの攻略対象(話術サイドの餌食)になる未来があるのかもー? と、今巻で少しだけ見えたような気もします。
だって今回アンナに対して上条さんの話術サイドが発動してませんもん。アンナが本音をまだ見せていないっていうのもあるでしょうが。

 

 

アンナの目的について。
アンナは今回の襲来でなにを果たしたかったのか。
上条さんの体にサンジェルマンを植え付けるその意図が、断片的にですが明かされました。

いわく、上条当麻をアレイスターが手を加える前の状態に戻すこと。
……ほう。
その上で、極限まで疲弊した上条当麻のどの側面が異能の力と結びつくのかを観察すること。
……ほう?

 

つまりどういうことだってばよ?
全く事前知識がない人間は、異能に触れて何をどこまで理解できるのか?
……これって、別に上条さんを瀕死に追い込んでもわかることではなくないですか?

極限状態にまで追い詰められて頭からっぽになった人間が、どのように能力を使うのか、ということを確かめたかったのかな。
とすると、結局は上条さんの強さの本質を知りたかった、という解釈でいいんでしょうかねぇ。

その結果、上条当麻に最後に残ったのは「ただ人を救う装置」だとアンナは断じたわけですが。
(アンナの言っていた『2000年前くらいにも見た』というのはもしかして神の子その人だったりするのだろうか)

本当にただ人を救うだけの装置であれば、上条さんはアンナに殺されていたことでしょうね。
しかしそうはならなかった。
壁を壊し、手を結ぶ理性の力
それによって害であったはずのサンジェルマンさえ味方に引き入れたことでやっと勝つことができた。
それが最後に残った彼の本質であり、衝突する者にとっては最も恐ろしい特性であると。

過去にオッティが理解した彼の本質をアンナは見誤り敗北を喫したわけですね。

一方通行とアンナの邂逅 これからの争乱と展望

©2020 KADOKAWA/鎌池和馬・はいむらきよたか

新統括理事長一方通行アクセラレータの隣の鉄格子に、アンナが収容されましたね。
しっかりアンナが拘置所に入れられるのシュールですよね。絶対こいつ自分の意志で入りに来たやろ。

上条さんとの戦いを「ちょっとの面白いイレギュラー」と称したアンナに、「こォして鉄格子にぶち込まれているってことは敗北したンだろ」と反論する一通さん。

そういえばアレイスターの使っていた滞空回線アンダーラインの権限って一通さんに移ってないんですかね?
もしそうなら一通さんも学園都市で起こることは全て把握できるってことになりますけれど……。

この俺が束ねる学園都市で好き勝手ができると思っているのか? と凄む一通さんに、しかしアンナは全くひるまずむしろその理解の遅さにストレスを溜めまくります。

「イライラする。ああイライラする」と。

いやぁこの二人を鉢合わせさせたら絶対空気ヤバいことになるって!

©高森朝雄・ちばてつや/講談社

こわいこわい。
アンナのこわいところ出てますよ!

「あなたの権力はあなたを縛り付ける。それではわらわを捕まえる事はできない、絶対にね」と。
空いた時間で適当に街のデータを取らせてね、としっかり一通さんにも喧嘩を売っていくアンナ。

 

R&Cオカルティクスは世界中に魔術をばらまき、世界中で混乱が起こっている状況。
その混乱の鎮静にあたっていたのは、第零聖堂区「必要悪の教会ネセサリウス」所属ステイル=マグヌスでした。
アンナがばらまいた種は、この後の物語の争乱にも大きく関わってきそうですね。
まだまだこの組織は根が深そう。

 

あと舞殿星見まいどのほしみちゃんがすぐ出てきてくれて嬉しかった!
やっぱりこの子はいい子だったね……!
しかし上条さんに「その力は自分のためだけに使え」と諭されたので、今後の出番は残念ながら期待できなさそう。
おかっぱ姿の挿絵くらいは見たかったなぁ……。

 

で、ですよ。
気になるのは終わり方。

 

全てが終わったあとの第七学区の病院。
アンナに完敗した美琴は「力が欲しい……」守れるものを守れるだけの力を欲します。
そのために「力を貸して」と食蜂に手を差し出し、その手を食蜂がしっかりと掴むところで終わり。

 

ほーお。でも美琴が組むべきは科学サイドではなく魔術サイドの人間なのではないか……?
もしくはもう魔術に半身どっぷり浸かってる新統括理事長様とかね。

 

それに次なる進化のためのヒントもありましたよね。173ページのアンナの台詞です。
「そして圧倒的に退屈だわ、御坂美琴。A.A.A.を纏って科学と魔術の境があやふやになっていた頃はそこそこイケると思ったけど、今はダメね。それじゃだたスタンダードに強いだけ・・・・・・・・・・・・・じゃない」

やはり進化のきっかけは魔術にあり。
より正確には、科学と魔術の境の方向へ進化していくこと……でしょうかね。第一位が人造の樹クロノオトを創造したように。
やはりこの物語は科学と魔術が交差し続けていくわけですね。
長く続いているこのシリーズも、第一巻から根の部分が変わらないというのは本当に面白い。
そこが長く人気があり続ける理由なのかもしれません。

 

次巻は2020年11月に発売決定してます!

創約第3巻を楽しみにしつつ、今回はこのへんで筆を置かせていただきます。
長文乱文失礼しました。
次巻でお会いしましょう、ありがとうございました!

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職業物書きを目指すワナビ兼アニメオタクです。 企業に依存しない生き方を目指します。

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