~ADHD上等!プロットが書けないワナビの奮闘記~

感想 原作と合わせて観る「とある魔術の禁書目録Ⅲ」3期#26(了):悲劇では終わらせない。右の拳は神の幻想を殺せるか。

2020/08/24
 

この記事を書いている人 - WRITER -
職業物書きを目指すワナビ兼アニメオタクです。 企業に依存しない生き方を目指します。

こんばんは、hineです。

禁書ファンである僕がアニメ「とある魔術の禁書目録」第三期を最大限盛り上げていくため、その魅力を伝えるべく色々と語ります!

※この記事は「とある魔術の禁書目録」原作未読の方に配慮した内容となっています。

 

前回打ち止めちゃんが救われ、アイテムが復活し、全てがハッピーエンドに向かっていたアニメ「とある魔術の禁書目録Ⅲ」。

感想 原作と合わせて観る「とある魔術の禁書目録Ⅲ」3期#25:アクセラレイター、その能力の真意。アイテムの復活、そして。

今回は引用したい箇所が多すぎたので、原作成分多めでお送りしています。

記事が長いので目次からお好きなところからお読みください。

「俺も、ずっと一緒にいたかった」

特別な歌唱を終え、その場に膝から崩れる一通さん。

その背後から。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

「……大、丈夫……? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」

 あやふやな視界の中で、小さな声が聞こえた。
 ずっとずっと聞きたかった少女の言葉。つい先ほどまで意識を保つ事すら許されず、最低限の命の保証もされなかった少女の台詞。その声色に、細いながらも芯が取り戻された事を一方通行アクセラレータは確信した。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

 もう打ち止めラストオーダーは安定した。
 これ以上、彼女が理不尽な暴力に苦しめられる事はない。
 その事実を、一方通行アクセラレータは深く噛み締めた。そして、気がついた時には動いていた。かつて学園都市最強の怪物と呼ばれていたその超能力者レベル5は、震える両手を伸ばし、未だにぐったりと体の力を抜いている打ち止めの小さな体を抱き寄せた。
 強く。
 二度と離さぬように。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

「……良かった……」
 ポツリと、言葉が漏れる。
 彼の声は震えていた。体を内外からズタズタにされた影響だけではなかった。
「ちくしょう。良かった。本当に良かった……!」

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

 長い間、断続的にしか意識を繋ぎ止められなかった打ち止めラストオーダーは、詳しい顛末を何も理解できていなかったはずだ。
 だが関係なかった。
 抱き締められた打ち止めラストオーダーは、その小さな手を一方通行アクセラレータの背中に回し、ゆっくりと撫でる。
 受け入れるように。
 おそらくは、一番最初に彼の中に残っていたものを見つけた時と同じように。
鎌池和馬『とある魔術の禁書目録22』電撃文庫 2010 P209

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

天使だ……

いや、聖母だ……!

雪の中で静かに微笑む打ち止めちゃんの母性がヤバい。


感動の再会をしている最中に水を差すようで申し訳ないんだけどさ、このままハッピーエンドで終わってくれそうな感じじゃなさそうよ


光があのでかぶつに収束されていってる。地上に発射されれば、まともな結末になりそうにねェな


ふざけやがって

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

黒翼。

一通さんの怒りの象徴

フィアンマの最後の手、ベツレヘムの星から地上への天使の力テレズマの放出。

そのエネルギーを感じ取った一通さんは、それを止めるべく立ち上がります。

「……番外個体ミサカワースト
 一方通行アクセラレータの言葉は、ささやくように静かだった。
「俺はあれを止めてくる。このガキを任せられるか」
「ロシア側から? それとも学園都市側から?」
「全てからだ」
 無茶苦茶な命令に、番外個体ミサカワーストは息を吐いた。両陣営を敵に回すという事は、第三次世界大戦の参戦勢力全てと戦えと言っているようなものだ。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

 だが、彼女は悪意に満ちた笑みを浮かべると、ポケットの中の鉄釘を取り出しながら、
「……まぁ、連中に吠え面をかかせるとは決めている訳だし、やる事は変わらないか。最終信号ラストオーダーやミサカネットワーク内の『歌』の情報を解析すれば、『学園都市にはないテクノロジー』を入手するチャンスにも恵まれる訳だし」
鎌池和馬『とある魔術の禁書目録22』電撃文庫 2010 P213

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

「どこへ行くの、ってミサカはミサカは質問してみたり」
 腕の中で、こちらを見上げる瞳は揺らいでいた。
 おそらく、彼女はこれから一方通行アクセラレータが行おうとしている事を理解している。分かっているから食い止めようとしているのだ。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

「どこへも行かないよね、ってミサカはミサカは確認を取ってみる」

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

「心配はいらねェよ。すぐに終わらせる」
 戻ってくるとも、帰ってくるとも言わない一方通行アクセラレータ
 黒い翼を生やした怪物は、自分の服を掴む少女の指を、一本一本優しく外していく。彼をこの地上に留めていた、最後の枷を振り切るように。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

「嫌だよ」
 打ち止めラストオーダーが、か細い声で呟く。
ずっと一緒にいたいよ、ってミサカはミサカはお願いしてみる

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

「……そォだな」
 一方通行アクセラレータも、認めた。
 最後の最後で、彼は子供のような笑みを浮かべてこう答えた。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

俺も、ずっと一緒にいたかった
鎌池和馬『とある魔術の禁書目録22』電撃文庫 2010 P215

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

言えたじゃねぇか……!!

当時高校生の思春期真っ盛りだった僕はここで涙を流したことを今でも覚えています。

打ち止めちゃんの指を一本一本外していくとかエモすぎませんか!?

“子供のような笑み”をアニメで描写するのかずっと気になっていたんですけど、これはして正解だったかもしれない。

この憑き物が落ちたような表情。とても一通さんの表情とは思えません。

そして、彼の変化は翼の色にも表れます。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

内面の変化。精神の変異。

周囲に充満した天使の力テレズマからの影響もあり、天使のような翼と頭上の輪をその身につけた一通さん。

メルヘン野郎にとやかく言えなくなりましたね!?

 一方通行アクセラレータはさらに白い翼を動かし、上昇速度を跳ね上げる。何の小細工もなしに、投下されてくる黄金の塊へと真っ直ぐ向かう。彼の口元には、わずかな笑みすらあった。
 そォか、と今さらながら一方通行アクセラレータは思った。
 これが、何かを守るための戦いなのか、と。

 直後だった。
 上空八○○○メートルで、二つの巨大な力が激突した。
鎌池和馬『とある魔術の禁書目録22』電撃文庫 2010 P218

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

素晴らしい。

神々しいまでの作画、御見それしました。

想像していたのはベツレヘムの星から天使の力テレズマが放出されて、それに一通さんが向かっていくイメージだったけど、それ以外は完璧なアニメ化だったと思います。

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上条当麻 VS 右方のフィアンマ 決着


なんだ……? 必要な出力は満たしていたはずだ……!

一通さんがベツレヘムの星からの力の放出を食い止めた結果。

地上に思っていたような破壊が訪れないことを疑問に思うフィアンマ。

これまでの上条さんの軌跡が悲劇を食い止めたと言っても過言ではありません。

だって、あの時雪原で一通さんと戦って喝を入れなければ地上は粉々に破壊されていた


もういいか。もうこのあたりが、お前の幻想の引き際だよ!

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

ここでインデックスの遠隔制御装置にも異常が発生。

聖ジョージ大聖堂で頑張っている、ステイルのおかげです。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

 最後の手段も断たれた。
 これが両者の違い。
 あくまでも頂点に立つ一人として力を磨き続けた者と、皆の力を借りてその頂点へ立ち向かおうとあがき続けた者の、決定的な違い。
 ちっぽけな高校生が、右の拳を握り締めて、世界を操る王へと走っていく。
 深く。
 鋭く。
 何人も近づける事を許さなかった、その玉座の懐まで。
 その時だった。
 ずっ……ッ!! と、上条の足元がいきなり沈んだ。
 『ベツレヘムの星』が弱体化しているのだ。
 右方のフィアンマからの力の供給を断たれ、自然と崩壊が始まっているのである。
 最後の最後で、上条当麻の足を止めたもの。
 その名は、
不幸
 フィアンマの唇が、不気味に歪む。
 彼は手の中にある遠隔制御霊装へ、もう一度意識を集中させる。
(五秒。一○秒稼げればそれで良い。その間に魔道書図書館の設定を強引に組み替える!! たとえ高負荷で一○万三○○○冊が焼き切れても構わん。ここで目の前の『敵』を洗い流す!!)

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

「お」
 だが。
 上条当麻の進軍は、そこで留まらなかった。
 少年は叫び、さらに前へと突き進む。
(中略)
(俺様が『神の子』の奇跡や恩恵を最大限に利用して様々な現象を起こそうとしているのに、この野郎、お構いなしだ!? 幸運も不幸も関係ない、こいつはそういった『曖昧なもの』を全部自分の足で踏破する力を持ってやがる―――ッ!!

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

テメェが、そんな方法でなけりゃ誰一人救えねぇって思ってんなら
 上条当麻の腹の底から、言葉が溢れた。
 その激情に逆らわず、彼は右の拳に全ての力を乗せる。

まずは、その幻想をぶち殺す!!
鎌池和馬『とある魔術の禁書目録22』電撃文庫 2010 P224

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

そげぶが決まったーッ!!!!

今まで上条さんを苦しめていた「不幸」が最後に立ち塞がり、それを自分の力踏破するっていうこの演出がニクいんですよ。

ちょっとアニメだと足元が崩れて足を止めた箇所がわかりにくかったけれど。

このシーンがアニメで見れただけ感無量であります。

 

ベツレヘムの星は崩壊中。決着を終えた二人は……


おい、行くぞ

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

 こいつはまともじゃない。
 コンテナから抜け出そうとしたが、重いダメージを受けたフィアンマの体はもう動かなかった。
 フィアンマは、思わず首を横に振った。
 何を否定しようとしたのか、自分でも理解できなかった。
「……良いのか……?」
「何が」
「俺様は、『世界中』なんていうのが、どれだけ広い場所なのかも分からん人間だぞ」

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

「そうか」
 呟いて、上条はわずかに笑う。
 彼は何故笑ったのか、フィアンマには最後まで全く分からなかった。

なら、これからたくさん確かめてみろよ
鎌池和馬『とある魔術の禁書目録22』電撃文庫 2010 P230

上条当麻は最後まで上条当麻というわけですね。

ここで敵を見殺しにして一人助かるような男が、このアニメの主人公を名乗れるはずもありません。

 

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

あれ、もうCパートだっけ?

いや違う!ようやくCパートじゃなく本編に出られたねみこっちゃん!!

妹達シスターズの力を借りてベツレヘムの星の高度までやってきた美琴。

しかし、上条さんは首を横に振ります。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

本人が拒否しても、服の金具部分を使って磁力で引き上げようとする美琴。

しかし、それも幻想殺しイマジンブレイカーによって阻まれてしまう。

皮肉なもんですなぁ……最後までこの右手が美琴の邪魔をします。

 

美琴の助けを断って、上条さんが向かった先。

そこは。


どうして脱出しなかったの?


お前の霊装のこともそうだけど、この要塞そのものの面倒見なくちゃいけないからな

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

 右方のフィアンマとの戦いの中で、一つだけ解消しなかった事があったのだ。
「……ごめんな」
 記憶喪失である事。
 今までずっとそれを隠し続けてきたが、それは本当に正しかったのか、という事。
 インデックスを傷つけたくなかった。彼女の信じている上条当麻でありたかった。でも、本当は、それは上条自身がショックを受けたインデックスの顔を見たくなかっただけなのではないか。自分の元から離れてしまうのが怖かっただけなのではないか。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

「お前にひどい事をしてきた。ずっと、お前を騙し続けてきたんだ。今から、全部話す。『ベツレヘムの星』から帰還できる保証なんてない。だから、話せる内に話しておく」
 ほんのわずかに、上条は俯いた。
 それから、もう一度、彼は自分の意思で顔を上げた。
「俺は」
 告げる。
 そのために口を開く事が。
 こんなにも勇気のいる事だと思ったのは。
 これが初めてだった。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

「俺は」
 今までずっと隠してきた事。
 記憶喪失。
 その事実を。

                 」
鎌池和馬『とある魔術の禁書目録22』電撃文庫 2010 P242

上条さんの台詞の空欄部分はアニメでも語られませんでしたね。

この演出はグッドです。

 


良いよ。もう、そんなの、どうでも良いよ


いつものとうまが帰って来てくれたら、何でも良いよ


必ず、戻る

インちゃん最後までかわゆすなぁ……。

インデックスにとって、上条当麻の記憶のあるなしなんて関係ない。

いつものとうまが帰って来てくれたら、それでいいよと。

それはみんな、どのキャラクターにとっても同じだと思います。

前条さんを演じ続ける今条さんは、もう立派な上条さんです。

 

しかし、まだ戦いは終わりません。


おかしい。なにか巨大な……天使の力!? なぜこんなものが……


ミーシャ=クロイツェフ、北極海を目指して進行中!


どうやって止める……!?


ベツレヘムの星が、予定軌道から逸れて行ってます!
何!? あいつ、まさか……!

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

ステイルの報告を聞いた上条さんは、進行方向を操作する霊装を利用してミーシャ=クロイツェフへとベツレヘムの星ごと突っ込む。

 ここに来るまで、色々な事があった。

 そもそもの始まりが記憶を失った所からのスタートだった。とある一人の少女を悲しませないように嘘をつく事から前へ進む事にした。特別な『血』を持つ少女を助けるために錬金術師と戦った。第三位の超能力者や彼女の妹達を助けるために、最強の怪物とも戦った。海の家ではクライメイトの裏切り者と死闘を繰り広げた。八月三一日にはいろんな事があった。AIM拡散力場の集合体たる『ともだち』を助けるために本物のゴーレムに立ち向かった。『法の書』を解読できるという触れ込みのシスターを助けるために十字教最大宗派にケンカを売った。常盤台中学の少女の後輩とかかわった事もあった。大覇星祭では運営委員やクラスメイトが巻き込まれる事態になりながらも『使途十字』の脅威から学園都市を守った。イタリアのキオッジアではかつて敵だった少女を助けるために氷の艦隊に突撃した。九月三○日には変わり果てた『ともだち』を助けるため、『神の右席』の女と激突した。クラスのみんなと食べたすき焼きは美味しかったし、常盤台中学の少女の母親を助けるために、スキルアウトともぶつかった。フランスのアビニョンではC文書を巡って『神の右席』と戦った。学園都市の地下街では天草式十字凄教と一緒に強大な『聖人』と戦った。イギリスのロンドンでは第二王女が主導するクーデターを食い止めた。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

 そして今。
 長かった、と思う。
 ここまで来る間の出来事は、決して楽しい事ばかりではなかった。
 何度も何度も他人を傷つけ、他人に傷つけられ、そんな事を繰り返してきた。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

 だけど。
 上条当麻はまだ走れる。
 それらの行動が、決して少なくない人達を助けてこれたのだという事を知っているから。
 最大の敵、大天使に向かって真っ直ぐ突き進む事ができる。
(……確かに、この世界はいつか滅んでしまうかもしれない)
(中略)
 でも、拳を握って突っ込みながら、上条は思う。

 何も、こんな悲劇的な結末じゃなくても良いはずだ。
 そいつを食い止めるために、戦ったって良いはずだ。
鎌池和馬『とある魔術の禁書目録22』電撃文庫 2010 P258

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

 十字教三大勢力の連合による捜索隊が派遣されたが、水温二度の海水の中から生存者が発見されることはなかった。
 上条当麻。
 彼は、二度目の『死』を迎える事となる。
鎌池和馬『とある魔術の禁書目録22』電撃文庫 2010 P259

最後の最後まで、みんなを助けるために拳を握り続ける上条さん。

今までと違い、人間ではなくほんまもんの化け物、大天使と対峙することになってしまいました。

この人、人間やめてます……!

これまでのことを思い返しながらミーシャに向かっていく演出はずるいですよ。

右方のフィアンマ VS アレイスター=クロウリー

脱出用コンテナから抜け出して生還したフィアンマ

これから生きていくにしても、その道は険しい。それは世界中を混乱させた大罪人としての人生だ。

しかし、あの男が残してくれた可能性を簡単に捨てられない。

上条当麻が命懸けで示した道を。

 

前向きに考え始めたフィアンマの、その右腕がごっそり削り取られます。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

……アイレスター=クロウリー……!?

でたわね。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

お前の顔を見ていると、自分がやってきた事の虚しさを感じるよ。本当に世界を救う人間はそんな顔はしない。あの時、あの場所で、あいつは誰にも追い着けない所に立っていた……!

よせ、フィアンマ!

そいつと戦うのはやめとけ!

変態がうつるぞ!!


無駄だと思うがね

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

あまりに歴然とした差による勝敗。

そいつに十字教の魔術で挑むこと自体が間違ってるんすよ……!

 

そして、倒れたフィアンマに近づく影が二つ。


誰、だ……?


オッレルス

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

かつて魔神になるはずだった……そして、隻眼のオティヌスにその座を奪われた、惨めな魔術師だよ

お、オッレルスゥー!!

初見の方には「魔神」だとか「オティヌス」だとか「???」なワードばかり飛び交っていますが、こいつもまたこれからのストーリーで重要な役割を持つキャラクターですね。

声優の島崎信長さんの声がマッチしすぎてヤバい。

三主人公 それぞれの結末

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

なんでもいい、学園都市との交渉材料を見つけねえと……!

そこ掘ったら出てくるの!?

と、台詞のせいでそう勘違いしてしまいそうですが、実は雪の下に埋もれた車両を掘り起こすために棒を使って掘っている最中だったりします。

 

結局学園都市との交渉材料は見つからなかった。

だから、一刻も早くまずは逃げなければならない。

しかし。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

学園都市の暗部部隊に取り囲まれ、身動きが取れない三人。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

素養格付パラメータリスト』によって既に示されていましたが、彼女には『八人目』となる、類稀なる素養がある

素養格付パラメータリスト』。

最初から誰がどのレベルまで達するかを示した格付表」。

そういうものの存在があることを、学園都市暗部の女は認めます。

 

みなさん原作三巻の妹達シスターズ編、美琴のクローンが誕生する経緯を覚えてますか?

学園都市は当時幼少期の御坂美琴にDNAを提供してもらい、その結果「超能力者レベル5を元にしたクローン」ができあがった。

その時の美琴は低能力者だったはずなのに。

そう、『素養格付パラメータリスト』によって「最初から美琴が超能力者レベル5に成長することがわかっていた」ということなんですねー。

「……元々、滝壺には稀な『素質』があった?」
 震える声で、浜面は確かめる。
 そう、

「つまり、時間割りカリキュラムに参加する前から分かっていたっていうのか? どれだけ努力しても、どれだけ勉強しても、成功するヤツは成功するし、失敗するヤツは失敗するって
鎌池和馬『とある魔術の禁書目録22』電撃文庫 2010 P270

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

「こ、の……野郎……ッ!」
 叫んだのは、浜面ではなく麦野だった。
(中略)
「つまり、浜面がこんな所まで落ちちまったのは、お前達が勝手に諦めたからじゃないか!! 私や滝壺は自分でこの道へと突き進んだ。道のりも環境も複雑で、一つの問題をクリアした程度で軌道を修正できるとも思っていない。でも、浜面を後押ししていたのは『力がなかった』って事だけだ! お前達が勝手にそう判断して、時間割りカリキュラムの手を抜いたからだ!! 確かに超能力者レベル5になんてなれなかったかもしれない。半端な所で止まってしまったかもしれない。でも、きちんと平等な機会を与えていれば、少しでも伸びる可能性はあったのに!! もしも、もしそうなっていれば……ッ!!
鎌池和馬『とある魔術の禁書目録22』電撃文庫 2010 P273

麦野が浜面を想う気持ちが表れている良いシーンです。

素養格付パラメータリスト』という、知られれば学園都市の学生の多くが絶望するであろうものの存在を知った浜面。

これで交渉材料は手に入れた。

あとはこの場を切り抜けるだけ。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

知っていることは全部喋ってもらう。大切なものを守るって言い訳ができれば、人間がどこまで残酷になれるか見せてやるよ

ロシアの村集落のみんなが助けに来てくれました。

情けは人の為ならず、最後まで浜面がやってきたことには意味がありましたね。

 

これで無事浜面達は重要な情報を持ち、学園都市に帰るという流れになるわけです。

 

一方、学園都市の輸送ヘリに回収されていた一通さん。

電極のスイッチは当然切られていますが……

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

カチッ☆

©尾田栄一郎/集英社

なにやってんのさーッ!!

スイッチの様子を確かめるために伸びてきた指を利用してスイッチオンする一通さん。

これはうっかりさんを責めるべきなのか、器用な一通さんを褒めるべきなのか……。


これは、交渉でも、提案でも、取引でも、懇願でも、協定でも、妥協でも、降伏でもねェ

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

凱旋だ、クソ野郎

一通さんもこれで打ち止めちゃんとミサワちゃんを回収して学園都市に戻る流れとなります。

 

また一方、上条さんの行方を確かめるべく、北極海を健気に探す美琴。

しかし、見つけないほうが良かったものを発見してしまいます。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

ゲコ太ストラップーッ!!

懐かしの九月三○日、あの前方のヴェントが襲ってくる前に上条さんと二人でペアルックで貰ったストラップ!

みこっちゃんは最後まで悲しいヒロインだった……(超電磁砲三期おめでとう……

 

そして。


ふうん、不幸不幸と言う割には、悪運が強いじゃないか

あ、このカットのバードウェイかわいい。

©2018 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX Ⅲ

上条当麻

ここ、原作では本当に死んだと思ったし、再登場する時には本当にかっこよい所を持っていくんですよねー……。

まだ上条さんに息があることが示唆されて本編終了です。

「とある魔術の禁書目録Ⅲ」感想まとめ

面白くなりましたか……?

 

あー終わっちゃった。

この結末は、ロシア編までやることが分かった時から予想できていた結末ではありました。

つまり、上条さんがミーシャと激突して二度目の死を迎えるという、物語の終わり方にしてはハッピーではない感じの。

それを上条さんが生きていることを明示することで少しでも緩和しようとしたのでしょうかね。

しかし、後味が良いとは言えないでしょうな……

ある意味この中途半端感を第四期への伏線と捉えることもできなくはないですが、第四期かぁ……

うーん……現実的ではないかなぁ……。

 

 

禁書三期の総括をするなら、次の一言に尽きると思います。

尺が足りない。

声優陣の方々は素晴らしい演技をしてくれた。

脚本家も限られた話数の中でよくまとめてくれた。

(……いや、尺や作画の問題じゃなくて台詞選びとか雰囲気作りの問題のとこもあったけど。対ミサワちゃん戦とか)

でもそもそも尺が足りなかったら面白いモンも面白く作れないですよ。

 

尺が足りないから駆け足になる。

駆け足になるから説明が足りなくなるし、演出もおざなりになる。

だから原作未読組が置いてかれる、という悪循環です。

たとえこれが原作未読組は最初から無視して、原作ファンへのサービスとして作られたものだとしても、全然嬉しくないですからね!?

いくら原作が好きだからって、その内容がおざなりなまま世間に周知されるのは耐え難い悲しみであります。

 

ジョジョのアニメみたいにナレーターの声を思い切って入れちゃったほうが面白いと思うんですけどね。雰囲気がある程度壊れるのは仕方ないとして。

話はズレますがテラフォーマーズのアニメ化も、原作の漫画の面白みであるナレーター部分を一切カットしてるからすごく面白さが削がれてしまってたと思います。

 

あまり他人からの評価を軸に感想を述べたくはないですが……

やはり「アニメ化の成功」のひとつの指標として、世間からの評価については触れておかなければなりません。

こちらがGoogle先生による検索予測。

三期のために一期、二期がある」と言われるほどの内容だった三期が、むしろ「三期なんてあったっけ?」って言われるような始末。

本当に悲しい。

僕の大好きなラノベ作品の「めちゃめちゃ面白かった部分」である三期の話をしているとき、目を背けたくなるのは辛い。

友達に禁書三期を自信持ってオススメできない自分が情けない。

「禁書三期見るより原作見る? 貸すよ?」って言うようにしてますが……!

 

そしてぶっちゃけて言ってしまえば、四期をやったとしても少なくとも今回の様な作り方ではあまり面白くはならないと思います……。

いえ、個人的には大好きですよ、北欧の魔神編

オッティインちゃんどっちが迷っちゃうくらい大好きなキャラクターも登場しますよ。

でも駆け足でやらないと北欧の魔神編は終わらないし、1~7巻を丁寧にやったら8~10巻まで2クールに収まらないから意味ないし。

今回のような作り方では、四期を作っても三期と同じ轍を踏んでしまうと思っています。

三主人公の共闘とか、超能力者勢ぞろいとか、面白いシーンたくさんあるんですけど、やっぱりそれらも尺余裕を持って丁寧に作ってこそですからね。

 

それで、これはあくまで個人の予想なんですけど、第三期制作陣も「これで面白いものが作れるはず」とは思ってないと思うんですよ。

ではなぜ禁書三期をやったのか。

僕の考えはTwitterでも書きましたが……

超電磁砲のほうが面白いと言いたい気持ちは、ちょっとわかる。

いやまあ禁書目録と超電磁砲は面白さのベクトルが違うから……

あっちは科学一辺倒で能力使用シーンも派手だし……美琴かわいいし……佐天さんおっぱいでかいし……

原作が小説じゃないから説明シーンがわかりやすいし……

禁書目録と超電磁砲を比べるということ自体、ナンセンスであるわけです。うん。

「ハンバーグとオレンジジュースどっちが美味しい?」って聞いてるようなもんです。うん?

 

あ、禁書三期の話だった。

でも、学びはありましたね。

禁書の面白さはやっぱり地の文にあるということ。

原作者かまちーの書く叙述的な表現。

これだったんです。これなしに映像化すれば、そりゃ面白さは削られるだろうと。

しかも一期や二期よりもその叙述的な描写が占める面白さが、三期部分は多かったんだろうということですね。

 

 

それに、決して良い部分がなかったわけではないんです。

それはこれまでの感想記事で散々書いてきたつもりです。

 

第一位 VS 第二位 の学園都市頂上決戦

上条当麻 VS 一方通行の再戦

一方通行の「俺もずっと一緒にいたかった」。

旧約最後のそげぶ

 

これらの映像化を見れたのは、やっぱりファンとして純粋に嬉しかったです。

悪い部分というのはやっぱり悪目立ちしてしまう(特にSNS上等では)し、悪評する人はやっぱり声が大きいので良い声というのは届きにくいものです。

禁書三期の良い部分をどうすれば次につなげられるのか。

そういうことを考えていきたいですね。

 

もし次の鎌池和馬作品の映像化があるならば、この禁書三期での反省を活かしたものであることを祈って。

禁書目録三期を悲劇(失敗)では終わらせない。

 

超電磁砲三期、楽しみですね。

 

ここまで読んでくださってありがとうございました。

そして、僕のアニメ禁書三期の感想記事を読んできてくださってありがとうございました。

hine(@hine0612)でした!

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職業物書きを目指すワナビ兼アニメオタクです。 企業に依存しない生き方を目指します。

Comment

  1. 匿名 より:

    お疲れさまでした嗚呼

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